デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 パートナー 金澤氏

デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 パートナー 金澤氏

金澤 透氏

デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 パートナー
ハイテク業界をはじめとする製造業に対してグローバルでの経営管理およびサプライチェーンマネジメントの業務改革と情報システムの構想立案と導入・定着化コンサルティングを数多く手掛けている。
主な著書に『ハイリターン・マネジャー』(東洋経済)。

デロイト トーマツ コンサルティングのSCM部門の概要・特徴について

movin:

本日はお忙しい中、お時間を作っていただき有難うございます。
早速ですが、御社のSCM部門についてお聞かせ下さい。

金澤様:

デロイトトーマツコンサルティング(DTC)のSCM(サプライチェーンマネジメント)部門は、日本の製造業の経営改革や海外進出をサポートするため、物流、調達などの狭義の領域の他、生産、PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)、販売・マーケティングといった幅広い領域で、業務・組織の改革を実行しています。弊社はインダストリーまたはアカウントを担当する組織と、コンピテンシーまたはサービスを担当する組織のマトリクスで成り立っているのですが、SCM部門は幅広いお客様に対して、SCM改革という軸で専門サービスを提供する、コンピテンシー担当の組織となっています。具体的な専門サービスとしては、昨今の経済・環境情勢を背景にした調達や生産の拠点戦略の見直しから、在庫水準の低減、納期短縮、販売機会損失低減のための業務・組織の設計や展開といったものが含まれます。要するに、モノの側面で企業の経営改革を促進する役割を担っているということです。最近は、モノだけでなく、そのモノがどこでいくらで売れるのか、より高いところで売るためにはどうすればよいか、といったお金の側面も加味した改革も推進しています。

movin:

クライアントはどのような業界が多いのですか?

金澤様:

現在はハイテクや精密機器の製造業のお客様が大半です。また、アパレルなどの消費者向け製品を扱っているいくつかのお客様とも現在のプロジェクトを実施しています。

movin:

お客様からの依頼テーマはどのようなものですか?

金澤様:

やはりグローバルサプライチェーンに関するテーマが多いですね。弊社は、調達・生産といった製品の供給に関するテーマと、マーケティング・販売といった需要に関するテーマの両方を扱っているのですが、それぞれにおいて、以前と比べて、より早くサプライチェーンを構築したい、現状のグローバルサプライチェーンにおける意思決定のスピードを加速したい、といったスピードに関するテーマが増えています。 また、M&A後の業務統合を踏まえて、現実のサプライチェーンをどのように統合していくのか、といったテーマも増えてきました。

movin:

グローバルサプライチェーンのテーマに関して、実際はどのようなプロジェクトになるのでしょうか。

金澤様:

弊社は多くのグローバルサプライチェーンのプロジェクトを実施してきていますが、代表的なものをご紹介します。ある製造業のお客様において、グローバルでの在庫管理と各地域の営業のあり方を改革するというプロジェクトで、北米、ヨーロッパ、アジアにコンサルタントを1年以上派遣して、日本および現地のお客様と一緒に業務改革を行いました。現地の文化や言語への対応の必要性から、海外のデロイトオフィスから派遣されたコンサルタントとも協働しましたが、日本からも各地域に数名ずつを派遣してプロジェクトを実施しました。日本のお客様は、人材面を含めた「現地化」がうまく進んでいないケースがあり、その場合は、日本人のコンサルタントと海外オフィスのコンサルタントのセットでプロジェクトを行います。日本人のマネジメントとの緻密なコミュニケーションは日本人コンサルタントが担当し、現地のマネジメントやメンバーへの対応を、現地オフィスのコンサルタントが行う役割分担を基本としました。 地域・国によっては、全てを日本人のコンサルタントが行った場合もありました。  進め方としては、最初は、日本本社で検討した戦略や業務の考え方を現地に持ち込んで、現地にどう合わせこんでいくかを検討し、その後、あるべき業務の姿を設計し、最後は、お客様と机を並べて、新しい業務が立ち上がるように朝早くから夜遅くまで業務のリハーサルを行いました。営業のあり方の改革においては、営業部隊は現地の方で構成されていますから、本社で考えている、実現したいことを腹に落としてもらうところが、各地域・各国ともに相当苦労しましたね。

movin:

海外での活動は、現地に常駐して行うのですか?

金澤様:

そうですね、長い人は2年近く現地にいました、ヨーロッパは各国それぞれ事情が異なるので、今回のケースでは、それを順次展開していくとそのくらいかかりました もちろん、適宜、日本には帰ってきてもらいました。 弊社では、出張ベースではなく、現地でじっくりと腰を据えて、改革を推進する形をとることが多いですね。 行く人は全員が英語が堪能なわけではないのですが、英語が苦手なメンバーも、最後には、現地の方とワークショップを切り盛りできるようになって帰ってきました。そういう意味では、送りだしたメンバー全員ともサバイブしてきましたね。

movin:

サプライチェーンの改革を実現する上では、業務を支援するITシステム導入が不可欠だと思いますが、ITシステムについても、手がけられるのですか?

金澤様:

お客様が新しい業務を効率的に、かつ正しく実施するための一つのツールとして、ITシステムは有効であると思います。ITシステム導入は、お客様がご自身でやるケースと、弊社に依頼されるケースがあります。 DTCには、ITシステムを専門に扱う別の部隊があるので、基本的には、ITシステム導入はこちらの部隊と連携して進めて行きます。SCM部門のコンサルタントは、戦略に基づいて業務や組織の設計を行ったり、また、業務上の要件をIT側に伝えるといった、業務とITの橋渡しの役割を負います。 例えば、先ほどのプロジェクト事例は、お客様が子会社を使ってご自身でITシステムについては導入されたケースでして、弊社は業務改革と、ITを含めた全体のプロジェクト統括を担当しました。

movin:

なるほど、分かりました。
それでは、次に御社のコンサルタントとして、働く魅力を教えてください。

金澤様:

弊社の強みとして、経営改革において戦略からその実現、実行までを支援するということが挙げられます。改革においては、その道しるべとなる戦略が最も重要ですが、その戦略が絵に描いた餅にならない、Executable Strategy(実行可能な戦略)ということにこだわっています。SCM領域は、短期間での成果が見えやすい面もありますので、自分の立てた戦略が果たしてお客様にとって役に立つものであったのか、ということを自分の目で確認することができます。すなわち、企業を変える、ということを本当に実感できると言えると思います。もちろん、長期施策として年単位の取り組みが必要なものもありますから、私たちは業務がきっちりと定着化してお客様のものになるまで、泥臭いことも含めてサポートしていきます。

movin:

お客様と一緒に並走する、マラソンのコーチやパートナーということですね。

金澤様:

私はコーチというよりは、パートナーであると思います。お客様に対して、私たちから提供する専門性があるので、お仕事を頂いているわけですが、私たちもお客様から学ばせて頂くことも数多い。そういう意味では、一緒に成長していくようなイメージです。

movin:

他にはどういったことがありますか?

金澤様:

プロジェクトの現場に出られるマネジャーやスタッフにとっては、本当のグローバル経験を積む機会が豊富なことが大きな魅力だと思います。

movin:

「本当の」グローバルプロジェクトですか。

金澤様:

先ほどもお話ししたように、戦略から実行までを行うのが弊社の強みです。グローバルプロジェクトで各地域・国のお客様企業を変革するとコミットしたら、とことんまでやります。どのファームもグローバルプロジェクトをやっている、とおっしゃっていますが、弊社は戦略から実行・定着化の期間、コンサルタントを送り込んで腰をすえて改革を実施します。グローバルというと耳聞こえがよいかもしれませんが、実際は、現地法人の日本人のトップも近い距離で見ている、複数の国の工場や販社を回って現地のお客様をセッションでひっぱっていかなければならない、日本とのコミュニケーションもちょっとしたことで誤解を生むのでセンシティブに行わなければならない、時差の関係で朝や夜に電話会議がバンバン入る、など、精神的にも身体的にもハードなことがたくさんあります。でも、それを一つ一つ乗り越えていく中で、グローバルで通用する人材が磨かれていくと思います。グローバル、という響きには、本当に大変な苦労と、それを補ってあまりある達成感が含まれています。

SCM部門の今後について

movin:

次に、金澤さんご自身について教えてください。

金澤様:

私は新卒で大学を卒業してからは、コンサルタント一筋ですね。外資系も国内系も両方のコンサルティングファームを経験して現在に至っています。就活時にコンサルティング会社を志望したのは、自分に付加価値をつけたかったからです。会社の名刺でなく自分の価値で仕事をしてみたいと思っていました。また、当時の私は相当鼻が高かったんだと思いますが(笑)、自分の価値は普通の会社にいたのでは埋もれてしまう、実力社会に行かないといけない、ということで、コンサルティング会社を選びました。

movin:

コンサルタント一筋ということですが、続けていかれるモチベーションは何ですか。

金澤様:

やはりお客様の存在です。信頼して仕事を頂いたお客様に喜んでもらいたいし、成長していって頂きたいので、そのためには何でもやらなきゃ、ということです。半ば強迫観念かもしれません(笑)。 あとは仲間、チームの存在ですね、長くやっていれば、本当にしんどいことも何度か訪れます。その時に一緒に考えてくれたり、厳しい一言をくれたりする仲間に恵まれました。そういう意味では、チームの中での謙虚さ、相手を敬う気持ちを教えてもらいました。次は、後輩たちが同じようにコンサルティングを愛して、続けていってもらえるような環境を作っていくことだと思っています。

movin:

SCM部門の今後について教えてください。

金澤様:

業界やお客様の中で、SCMと言えばDTCだ、と認知されるように、SCM分野でもNo.1コンサルティングファームの地位を確立したいと考えています。 お客様への最良のサービス提供を目指していますが、まだ十分ではありません。 ある領域では向かうところ敵無しの実力があると思っていますが、全ての領域ではありません。例えば、米国のデロイトは、調達や購買の分野では業界の中でのポジションを確立しているのですが、日本ではそこまで出来ていない。また、数が多ければいいというわけではありませんが、組織規模の面でも拡大の余地が大きいと感じています。 優秀な人材を獲得・育成して組織の力を強くするとともに、個人の結びつきや、スキルや精神面の強化を行って、個の力も上げていく必要があります。 チームカラーとしては、「One for all, all for one」で行きたいと思います。今年度は、特に、海外デロイトファームとの連携を強めたいと考えています。海外、特に欧米のデロイトでは各国に展開しているグローバル企業の市場戦略や拠点戦略の見直しに伴って、移転価格面を考慮した新しいサプライチェーンネットワークの構想・構築をTAX部門と連携して行ったり、ERS(エンタープライズリスクマネジメント)部門と連携して、2011年は顕著であった災害などによるサプライチェーン上のリスクを軽減する、継続性のあるサプライチェーンを構築するといったような、新しいソリューションを展開しています。多数の実績がある彼らと連携することで、新しいサプライチェーンのコンサルティングを進めていきたいですね。

求める人材について

movin:

求める人材についてお伺いしたいのですが、御社にはどのような方が向いていますでしょうか?

金澤様:

経営者からモノ作りの現場までのお客様をカバーするSCMコンサルタントは、論理力と感情力の両方が必要ですから、論理力だけ、という人は厳しいですね。日本の製造業を強くしたい、海外進出を支援したい、という熱いハートと、現在の日本の製造業の置かれている状況から固有の課題を導き出すクールな目線が必要です。最初から両方が備わっている人ばかりではありませんが、自分はどっちが強くて、どっちを強化しないといけないか、ということを自分で判っている人はコンサルタント向きだと思います。 また、いい意味で自分勝手と言いますか、ポジションに関わらず、自分がリードするんだ、まずはやってみよう、という意識を持っている人はどんどん成長していくと思います。仮説に基づいて素早く行動して問題や課題を発見することで、次のステップが見えてくるからです。

movin:

御社の評価制度について教えてください。

金澤様:

評価制度は、私が過去いたファームと比べても、透明性が高い仕組みだと思います。各ポジションに求められるコンピテンシーが明確に定義されていて、それが継続性をもって発揮できるかどうかを評価します。プロセスとしては、各プロジェクトの評価を元に半期単位でレビューを行い、通年で昇進・昇格を決定します。メンバーの育成・キャリアの実現という意味では、キャリアアドバイスを行うカウンセラーが部門内で設定されており、キャリアゴールの設定から、どれがどのくらい実現できているか、課題は何か、ということなどを適宜レビューとフィードバックを行います。

movin:

それでは、最後に中途で御社を目指す方に一言メッセージをお願いいたします。

金澤様:

国際経済の中で競争力を失いつつある日本企業を強くしたい、腰を据えて改革に取り組みたい、という方、ちょっと脅かしになったかもしれませんが、グローバルで自分の限界に挑戦したい、あるいは、一人で伸びて行くことに限界を感じている方、私たちと一緒に個人とチームを成長させていきましょう。 よろしくお願いします。

movin:

本日はお忙しいところ本当にありがとうございました。




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