IBMビジネスコンサルティング ERPコンサルタント Mさん

今回は、総合系コンサルティングファームの「IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)」で、主にERP導入コンサルティングプロジェクトでご活躍中のMさんに、IBCSの魅力や最近の動向、そしてご自身のITコンサルティングに賭ける熱い想い等を伺うことが出来ました。
(当インタビューは、2002年に実施されたものです)

【Mさんプロファイル】

IBCS(現在はIBM) FMS(Financial Management Solutions)部門 コンサルタント。
S&E(Service & Energy)インダストリーに所属。
関西有名私立大学を卒業後、しばらくは公認会計士試験勉強に専念。
その後SI企業に入社し、大企業クライアントへのシステム導入プロジェクト等を経験。
2000年旧PwCConsultingに転職。
現在は大手商社などへのERP導入コンサルティングプロジェクトに従事。

movin:

こんにちは、お久しぶりです、Mさん。
本日はお忙しいところお時間頂きましてどうも有難うございます。
そうそう、最近アドバイザリー(*)へのプロモーションが決まったそうで、どうもおめでとうございます!

(*)IBCSのキャリアパスは、「スタッフコンサルタント→シニアコンサルタント→アドバイザリー→マネジャー・・・・」というもの。
「Global Capabilities Framework」(略称:GCF)と呼ばれる全世界共通のスキル評価制度に基づきスキルレベルが決定され、それに連動してクラスと報酬が確定する完全能力主義の仕組みとなっている。

Mさん:

いやー、本当に良かったです。
これもこのようなチャンスを与えてくれたお客さん、会社、そしてムービンさんのお陰ですよ。
もっともっとお役に立てるコンサルタントになれるよう、これからも一層精進して行きます。

movin:

いつも謙虚で腰の低いMさんだからこそ、お客さんのココロを掴む仕事ができるのでしょうね。
さてお疲れのところ恐縮ですが、これからいろいろと質問させて頂きますね。

IBCSの魅力、最近の動向

movin:

では早速ですが、ズバリ、御社IBCSの魅力とは何だと思われますか?

Mさん:

そうですね、いくつか挙げられると思います。

まず、各種の研修制度や情報ソースが確立されているということですね。
自身のキャリアプランさえ確立していれば、それに合わせたスキルアッププランをバックアップしてくれる各種の研修制度や情報ソースがふんだんに用意されているので、積極的に吸収していけるということです。

「自身のキャリアプランさえ確立していれば」と言ったのは、あらゆる種類の研修や情報があまりに多いので、それらを取捨選択するに足る自身のビジョンを明確に持っていなければ、ややもすると、それらに振り回され、結局何も得られないと言うことになってしまうからです。
また、Staff Managerという制度の存在も挙げたいですね。
これは何かというと、現場でプロジェクトに従事するコンサルタントのカウンセリングをして、いろんな相談に乗ってくれたり、また、各々のキャリアプランに合ったアサインメントを決めてくれたりする立場のマネージャーのことです。
このような制度により、何かあればいつでも相談できるという環境が整っているのは、自分の今後のプラン等を考える上でとても有益です。

ちなみに、みんながみんな、何かあればいつでも相談できる環境にあるかと言えば、それはNOだと思いますが、私の場合は、たまたま直属のマネージャーがStaff Managerを兼任しているので、いつでも話ができる環境にあって、とてもラッキーだったと思います。

そして、どんなことでもプロアクティブに取り組んでいけば、それを実現できる環境が整っていると思います。
また、それが通るかどうかは別としても、上司部下によらず何でも意見できる環境が整っていることも、自身が主体性を持って仕事をできる裏づけになっていると思います。

movin:

なるほど、成長意欲が高い方にとってはとても魅力的な環境ですね。
次に、御社で現在稼動中のプロジェクト事例を差し支えない範囲でお教えください。

Mさん:

分かりました、そうですねぇ、例えば・・・

●E-ビジネスコンサルティング
某携帯通信会社と共同で、新しいタイプのソフト(詳しいことは言えません・・・)を活用したビジネス戦略の策定や 実行支援をしたり、某大手家電メーカーのグローバルサプライチェーンマネジメント戦略の策定からシステム導入までを手掛けたりしてますね。

●インキュベーション
国内外のベンチャー企業と大手企業のスピンオフ事業を支援しています。
これまで20社ほどのベンチャー企業の支援を手掛けていて、今年の春にはそのうちの1社(?)がナスダックジャパンに上場しています。

●ERP(特にSAP)導入コンサルティング
もう個々の企業が自社システムを独自に構築・メンテする時代は終わったのでしょうね。
このパッケージ導入コンサルティングは、各インダストリー内の主要企業に満遍なく展開されています。
大手自動車会社や商社、最近は官公庁系などからも引き合いが来ているようです。

……と、例えばこんなところでしょうか。

movin:

なるほど、実に多岐に渡るコンサルティングサービスを展開していらっしゃいますね。

Mさん:

最近はこれまでにも増してプロジェクト間でのナレッジ共有を推進していこうと全社が熱く動いていますよ。
例えばERPであれば、プロトタイプの共有化などを推進することで、インプリの工数を削減し、お客さんの戦略策定により一層エネルギーを注ぐことができるよう皆が協力しています。

このような仕組みやカルチャーがあるからこそ、弊社は今後上流工程のコンサルティングを主軸とした更なる飛躍が見込めるのではないかと思います。

ERPコンサルティングの最新動向

movin:

Mさんの専門である『ERP』に関するコンサルティング市場の今後について、Mさんはどう見ていらっしゃいますか?

Mさん:

基幹系システムのインプリは徐々に下火になっていくと思います。
次の展開としては、既にERPを導入済みの企業に対して、基幹系システムで集めた情報をマネジメントがより戦略的に活用できる形に加工するための情報系ツール導入が活発になってくるでしょう。

SAPでは「SEM(Strategic Enterprise Management:戦略的企業経営)」と呼ばれる新しいモジュールがそれに該当します。
これは「バランススコアカード(*)」のコンセプトを基にした主要業績評価指標(KPI)を解釈・視覚化できる機能を備えていて、財務・非財務問わず多面的な業績管理を行いやすくなります。
弊社では、最近グローバルで開発された財務管理系の新しい方法論をベースにした当該モジュールの導入手法を提唱し、今まさにあらゆる大手企業に積極的にPDを掛けているようです。

(*)財務の視点・顧客の視点・社内ビジネスプロセスの視点・学習と成長の視点という4つの視点から多面的に業績を評価する手法。
将来の財務業績に繋がるような財務以外の様々な取り組みの成果をも「業績」として認識、定量化してマネジメントの対象とする。

movin:

なるほど、この「SEM」というツールに、御社の戦略や業務プロセス・ITノウハウを加味することで、さらに付加価値の高いコンサルティングが可能になってくることでしょうね。

IBCSへのERPコンサルタント転職

movin:

Mさんは前職でもERP導入に携っていいらっしゃいましたが、何故コンサルティングファームへの転職をお考えになったのでしょうか?

Mさん:

前職のSIでも、大規模クライアントにSAPを導入するプロジェクトに参画していました。
ただ、自社の規模が小さかったために、下請け的な仕事が多かったのです。
業務設計・システム化要件の検討、ギャップ分析~開発・テスト・保守運用といった、導入作業の一連の工程に携ってはおりましたが、「作業者」として与えられた仕事をこなすことだけを求められる立場でした。

もっと上流の工程からクライアントと関わることができ、ERP導入の醍醐味である「業務改革」にまで踏み込める仕事がしたいと思ったのです。

movin:

転職されてからはどのようなプロジェクトを経験されてきたのでしょうか?

Mさん:

私は一年前に転職して以来ずっと、ある大手企業の基幹システム再構築プロジェクトに参画しております。

このプロジェクトは、
 -経理(入出金管理、伝票経理、単体決算)
 -財務(与信管理、投資管理)
 -決算(連結決算)
の3つの業務領域へのSAP導入支援のほか、人事制度改革の支援も行っております。

movin:

このプロジェクトにおけるMさんの具体的な役割・仕事内容を教えて下さい。

Mさん:

私は「決算(連結決算)グループ」に所属しています。
このグループの中には、
- インターフェース系
- 処理系
- アウトプット系
の大きく3つのユニットがあり、私は「処理系」ユニットのリーダーというポジションです。
ユニットのスケジュール管理や品質管理、6人の部下、協力会社メンバーのタスク管理を任されています。

そして自分自身の仕事として、ファンクションの追加開発やカスタマイズ、業務要件分析等を手掛けています。

ERPコンサルタントという仕事

movin:

転職してまだ1年も経たないのに早速ユニットリーダーとしてご活躍されているMさんにぜひ伺いたいのですが、この「ERPコンサルタント」という仕事に求められる資質とは何だとお考えでしょうか?

Mさん:

そうですね、

(1)コミュニケーション能力
(2)問題解決能力
(3)論理的思考能力
(4)協調性

の4つの資質が挙げられますかね。

(1)は、例えばクライアントとの間で意識や認識のギャップを生じさせないためにも非常に大切になりますね。

(2)及び(3)は、何か問題が発生したときに、迅速にその事象を捉え、原因を分析、それを基にロジカルに解決策を構築、最終的にクライアントに提案するというワークフローはコンサルタントの基本ですからね。
自分はまだまだできているとは思いませんが・・・。(笑)

(4)は、コンサルタントは一見個人主義的と捉えられがちなので、ともすると忘れられがちなのですが、実はこの中では一番大切なことじゃないかと言っても過言ではないと言える能力です。

つまり、コンサルタントが手掛けるプロジェクトワークは個々のメンバーとの協調性がなければ、決して成功を手にし得ないだろうからです。

movin:

なるほど。では求められる「スキル」とは何だとお考えでしょうか?

Mさん:

「スキル」といえば、この3つが挙げられるでしょうか・・・・・・

(1)パッケージ(製品)に関する知識
(2)プログラム言語(構造)の考え方に対する理解力
(3)業務の知識

この(1)に関しては、パッケージの思想を理解した上で業務プロセス改革という目標を掲 げ、そのためのシステムインフラ改革へと発想転換することの大切さをクライアントに理解してもらえる能力という意味もあります。

あと忘れてならないのは、多様なメンバーを統率しクライアントリレーションを良好に保つことのできる「マネジメント能力」ですね。
この辺りは、確かムービンさんのホームページに簡潔で分かりやすい説明がありましたね。

movin:

とても分かりやすいご説明ありがとうございます。
Mさんご自身にとっての「今後の課題」は何だとお考えでしょうか?

Mさん:

何と言っても「マネジメント能力」の向上です。(ずばり即答されるMさん!)
たとえ今後自分の知識/経験を即戦力として活かすことができないプロジェクトに配属された場合でも、「マネジメント能力」があれば貢献できることはきっとあると思います。
チームメンバーの一人一人がもっと気持ちよく働ける環境をつくり、1+1の力を3にも10にも発展させることができるような能力を身に付けていきたいと考えています。

movin:

向上心旺盛なMさんですが、ご自身が理想とするコンサルタント像とはどんなものなのでしょうか?

Mさん:

「理想像」というとちょっと大袈裟かもしれませんが、コンサルタントはお客さんとの付き合いが前提になる仕事ですので、常に誠意ある対応を心掛けています。

movin:

なるほど。Mさんの考えるこの仕事の「醍醐味」とは何でしょうか?
また、この仕事の「泣きたいところ」とはどんなところでしょうか?

Mさん:

「醍醐味」はやはり「いろんな業種業態のクライアントさんを相手にできること」ですかねぇ。
そこで、それぞれのニーズに合ったソリューションを提供するために、いろんな知識を吸収していかなくてはならないことが大変ではありますけど、楽しいですねぇ。

「泣きたいこと」ですかぁ!?
そうですねぇ、そりゃあ考えたらいっぱいありますけど・・・。(笑)
例えば、クライアントさんに何らかの問題に対する解決案を提案する時に、自分の考えているシナリオ通りに進まず、結果的に意が伝わらなかった時なんかは、自己嫌悪になって「泣きたくなる」こともありますねぇ。

movin:

そのような「泣きたい気持ち」にもめげず(笑)、今後はどのような仕事を手掛けてみたいとお考えでしょうか?

Mさん:

そうですねぇ、先ほどもお話しましたが、今後は基幹業務系システムの導入プロジェクトより、それを前提とした、情報提供系のシステム導入プロジェクトが主流になってくると思うんです。

情報提供系と言えば、大きく「内部管理目的のもの」と「外部公表目的のもの」とがあると思います。
昨今、国際的要請から制度上の開示が連結を主とするようになった煽りを受け、それまでの企業単独ベースの業績管理を志向した経営から企業グループ全体の業績管理を志向する連結経営に、日本企業は変わってきています。
それに伴って、経営の意思決定を支援する内部管理向けの情報が企業単独から企業グループという視点に変わりつつあります。

そこで、我々は、内部管理目的と言っても、「どのような情報がグループ経営の意思決定に資する情報なのか」、また「その情報を提供するためにはどのような仕組みを構築していかなくてはならないか」といったことを、経理財務、経営、システムというあらゆる視点からクライアントに提案していきたいと思っています。

また、外部公表という視点で言えば、現行では世界の大部分の企業が伝統的な会計基準に従い、定量的な財務情報のディスクローズしか行っていません。

しかし、昨今の企業環境を取巻く不安定な経済情勢や技術革新の目まぐるしい変化に対応していくためには、より未来を志向した情報や将来発生し得るリスクに関する情報、さらには財務情報に限らず、その企業を取巻く社会環境に関わるような非財務的な情報の開示が、よりタイムリーに投資家や株主、さらには取引先や消費者に提供されなければ、その企業は市場から見放され、結果存続すら危ぶまれる時代になってくると思うのです。

それら企業情報のディスクローズを志向した外部公表に関わるソリューションの一つとして、弊社では現在グローバルで、米国公認会計士協会がスポンサーとなり、他のコンサルティングファーム、IT系企業等と共同で、企業情報開示のためのインターネットプラットホームを開発しています。

これが実用化される段階に至れば、是非当該ソリューションの提案を行えるようなコンサルティングワークにも従事してみたいと思っています。

movin:

その他にもMさんが注目されている新しい技術やそれに感じている可能性などを伺いたいのですが・・・。

Mさん:

先ほどもお話した企業情報のディスクローズを志向したインターネットプラットホームには大変興味を持っています。

私の専門である会計領域の知識/経験を活かしつつ、今はやりの(ミーハーですね!(笑))インターネットビジネスにも関わっていけるので、今後大いに期待しています。

movin:

益々コンサルタントの仕事にやりがいが出てきますね。
それでは最後に、コンサルタントを目指す方々へ一言メッセージをお願い致します。

Mさん:

様々なことに問題意識を持って常に独自のアンテナを張れる人、もしくは知的好奇心の旺盛な人、また、お客さんのために、そして自分のために・・・なんてというと、少々大袈裟かもしれませんが、問題解決やそれに至る調査、分析のためには長時間労働も厭わないという人全てに、コンサルタントとしての適性があると思います。

ただ、コンサルタントって傍から想像するよりもはるかに地味な仕事です。
ですので、事前に自分がどんな環境でどんな仕事を手掛けているだろうか、それについてどう感じるか・考えるかということをじっくり検討された上で、コンサルタント転職を目指すべきでしょう。

movin:

Mさん、お忙しいところどうもありがとうございました。
来年のカットオーバーまでは激務が続きそうですが、くれぐれもお体には気をつけて頑張って下さいね。
ムービン一同心より応援しております。

以下、Mさんからのおまけ情報

●Mさん最近のオススメ書籍
-「マッキンゼー 世界最強の仕事術」(英治出版)
『とても読みやすい構成。日々プロジェクトワークを遂行している自分にとって大変参考になった。』

-「稲盛和夫の実学-経営と会計」
『会計を実際の経営と絡めて分かりやすく解き明かし、またそれを通して経営の原理を身近なたとえ話から説いているので、大変興味深い本でした』

-「山形道場-社会ケイザイの迷妄に渇!」
『少々歪んでいるようにも見えましたが、とても分かりやすい文章でもって、21世紀の経済、社会の中でどうやって生きていくの?ってところを面白く書いていましたね。』

●Mさん購読雑誌
-日経ビジネス(『特に経営戦略のケース記事などが好きですね』)
-週間ダイヤモンド(『旬のビジネスニュースが分かりやすくまとまっています』)
-週間東洋経済(『他の雑誌と比べて、”会計ネタ”が多いんですよ』)

●Mさん座右の銘→『無知の知』
 『まず、”自分は知らない、ということを知る”。これこそが知識習得の第一歩ですね。』




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