スカイライト コンサルティング 設立の経緯
movin:
御社と私共がお付き合いを始めさせて頂いてからもう早8年ほどになりますね。
御社が設立間もない頃からこれまで、2~3年に一度このようなインタビューをさせて頂いていて、今回が3回目となります。
私共では御社の基本的なところは理解しているつもりではありますが、初めてこの記事をご覧になられる方々に向けて、まずは改めて御社の概要を説明いただいてもよろしいでしょうか?
矢野氏:
当社は元々外資系の大手コンサルティング会社で勤務していたマネジャー6名が集まって設立されました。その設立の経緯・背景には強い思い入れがあります。
大きな会社にいると、手掛けている仕事がどこまで本当にお客様のためになっているのかという疑問が募ってきます。
つまり、仕方の無い事ではありますが、どうしても売上、利益を追い求めてしまう。あるいは人数が大きくなってしまうと、組織や他の社員を管理しながらコンサルティングをして行く事になり、自らはお客様とお客様の抱える課題に真剣に向き合うことがなくなってしまうと。
これに対して、もっとお客様の立場に立った視点を持つために、必ずしも規模を追求して行かないでも済むような形でコンサルティングビジネスをやりたいというのが、我々の設立の根本思想になります。
movin:
最近は、IPOを目指したり、事業会社の傘下に組み込まれたりするコンサルティング会社が多くなっていますよね。
矢野氏:
そういう傾向がありますね。そのような中で、我々はトランスコスモス社の子会社という形ではありますが、親会社からの取締役の派遣も無く、クライアント情報の開示を行わない形で、独立した経営をさせていただいています。
ただ、だんだんと独立系のコンサルティング会社が少なくなりつつあるのがコンサルティング業界の現状ですよね。例えば、経営管理システムプロジェクトで、 ERPの導入を検討されているお客様がいらした時に、お客様の立場で第三者的にベストなERPを選ぶ事が出来るコンサルティング会社が、じつは少なくなってきていると思います。
movin:
なるほど。8年前と比べてさらに、御社ならではのビジョンや問題意識が際立ってきますね。
引き続き御社の会社概要、事業概要をお伺いさせて下さい。
クライアントファーストと自由度の両立
矢野氏:
8年前に会社を設立してから一貫して変わらず、「お客様のために、本当に必要なコンサルティングサービスを必要なだけ、最適な体制で提供する」という考えのもとでやっております。
そのため、1つのプロジェクトは多くても5名程で構成し、お客様と協働しながらプロジェクトを進め、一緒に成果を創出していくというスタイルです。
このようなスタイルは、我々コンサルタントがプロジェクトから抜けた後も、お客様に引き続き同様にビジネスを進めて頂くためにも必要な事と考えております。
movin:
その結果として、お客様が成功し、そして御社の業績も順調に推移しておられるというわけですね。
矢野氏:
はい、お陰様で、ありがとうございます。
あと、我々の特徴として、「提供サービスを特定の領域に絞り込んでいない」という事が挙げられます。これは特に、お客様をよく知る、現場のリーダーであるマネジャーに、「自分がやりたい仕事をやってもらう」ことを基本としているということです。
やりたいことをやることが、本人のためにもお客様のためにもモチベーションとパフォーマンスを上げるには一番良い訳ですから。
ですので、会社側から「この特定の領域をやりなさい」とか、「このお客様を、この業種を攻めなさい」というような指示は一切せず、マネジャー自身がやるべきだと考える仕事・やり方を許容し推奨するようにしております。
コンサルタントのアサインについても同様です。週に2度公開される案件の中から、自分の志向とキャリアに基づいて立候補する制度にしています。
結果として、さまざまな専門知識を持ったコンサルタントが社内に増えてきました。じつに多様性に富んでいて、お客様からご相談を受けた時に、必ず何らかの対応ができる状態になっております。
お客様とお付き合いが始まり、当初のプロジェクトを進め、それが終わった後に、別の課題についてのご相談を受けることがあります。「リピート率8割」という数字が示します様に、お客様から信頼を得られていると自負しています。
また、質を重視した人材の採用に関して、ムービンさんなどの企業のご協力もあって計画通り進んでいることも大きな要素です。
movin:
そうおっしゃっていただけると嬉しいです。
先日(2008年6月)に共催したキャリアセミナーに参加された方々のなかからも、何名かの方が実際に入社されることになりましたし、さらなる好循環に貢献してまいりたいと思います!
さてそれでは、引き続き他の観点から御社についてお伺いできればと思います。
御社の手掛ける「コンサルティングプロジェクトの中身」についてお聞かせ下さい。
スカイライトならではのプロジェクトの特徴
矢野氏:
私共のお客様は、「半数が東証1部・2部上場企業のお客様、もう半数が中堅、中小、ベンチャー企業のお客様」となっております。これも先ほど申し上げたとおり、会社としてこの様な比率でやろうと決めている訳ではなく、結果としてこの様になっています。
他社との違いという事で言いますと、「プロジェクトの大小だけで、実施するか否かを判断することはない」という考え方です。小規模なプロジェクトであっても、我々がお手伝いして価値を出していけるのであれば支援します。中堅中小のお客様にも使っていただきやすいし、ベンチャー企業を支援するプロジェクトもあります。大企業の場合であっても、必ずしも構想段階から大きな予算が付いている訳ではありませんから、早いタイミングで支援に入れるというメリットがあります。
特に、新規事業立上げの全プロジェクトに占める比率は13~14%ある訳ですが、こういったプロジェクトには当然初めから大きな予算が付く訳ではありません。従って、多くのコンサルティング会社は積極的に取りに行ってなかったわけです。しかし、実際には支援を必要としているお客様は多く、成功すれば後続の仕事も生まれてきます。いわば、我々が新たに開拓した市場と言えるかもしれません。
movin:
なるほどですね。
矢野氏:
小規模ベンチャーもしくは大企業の新規事業のプロジェクトといったものが、全プロジェクトのうちの13~14%もの割合を占めるというコンサルティング会社は、おそらく他には無いかと思います。したがって、それに関連したノウハウも実によく貯まってきているといえます。
movin:
新規事業立上げとは、具体的にはどの様なテーマ、形で進められるものなのでしょうか?
矢野氏:
大きく分けますと、大企業における新規事業立上げと、中小・ベンチャーの支援があります。
大企業の場合は、我々にご相談に来る際には既にケースが決まっていることが多く、例えば、海外にベンチャー企業があり、日本法人を立ち上げるので共同出資をしようとしているのだけれども、その市場性についての評価や投資判断の支援をして欲しい、あるいは特定の技術やサービスがどの様にすれば事業性の高いものになって行くのかビジネスモデルを考え検討して欲しい、といったお話から始まって行きます。
そして、もうひとつのパターンは、アーリーステージ、もしくはミドルステージのベンチャーで、ある程度黒字が出ていて売上規模も数億~数十億円規模の場合ですね。
この様なベンチャー企業では、人材が圧倒的に足りない訳です。
仕事はある、お客様もいる、なんとかビジネスは回っている。しかし、圧倒的に人材が足りない、という状態ですね。
そのため、次なる成長のための一手を打つために、創業当時からまわしてきた経営やビジネスの仕組みを変えて行く必要がある訳です。
例えば、今まで人手でまわしていたものを効率化して行かなくてはならない、あるいは、内部統制の整備をして行かなくてはならない、といったことです。
このように様々なテーマに対して取り組んで行く必要があるが、社内にはそのようなノウハウを持った人材がいない。そこで我々の出番となる訳です。
movin:
なるほど、そういうことなのですね。引き続きお話を伺ってよろしいでしょうか?
矢野氏:
弊社で手掛けるプロジェクトの中身としては、これまでにお話しした新規事業立上げ支援が特徴的なところですが、全プロジェクトの3分の1程度が、業務改革やアウトソーシングを主眼としたプロジェクトになっています。
ムービンさんは良くご存知かと思いますが、よく我々はITコンサルだと誤解をされてしまうのですね。確かにIT導入支援や運用などの仕事もあります。しかしながら、我々が行っているのは、「お客様の様々な経営課題を解決して行く」という事なのです。
当然ながら、戦略立案から導入、定着までの一連のプロセスの中で、どこに力点を置くのかは解決策によって変わってきます。そのような意味では、いわゆる戦略系と呼ばれる様な仕事もあれば、業務改革の仕事もあります。
昨年度は60社弱のお客様企業と、計130のプロジェクトをやらせていただきました。プロジェクト終了後の顧客満足度調査によりますと、5段階評価で4点、5点を頂いたお客様が全体の7割を超えると言う、非常に高い満足度を得ております。
movin:
確か前回のインタビューでは、成長のための秘訣となった御社の「人材を育てる仕組み」について詳しいお話を伺いましたね。
スカイライト流 人材育成の仕組み
矢野氏:
これまでにお話ししたような、「お客様に良いサービスをする事によって、信頼を得ていく」ためには、どうしても優秀な人材を社内で育てて行かなくてはならない訳ですね。
我々の人材採用における基本的な考えは、即戦力として期待できる方を採用するというよりも、我々の経営理念に共感いただけて、かつコンサルタント適性の高い、ポテンシャルの高い方を採用し、実際の仕事や社内外の教育において、さらに成長していただくというものです。
なぜかと申しますと、即戦力で仕事の出来る方というのは、力はおありかもしれませんが、必ずしも我々のコンサルティングのやり方に馴染まないケースもあります。
私たちは、単に教育研修のみを人材開発ととらえているのではなく、採用のタイミングから、「プロ」といえる人材とはどの様な人材なのだろうと言った定義から始まり、ポテンシャルのある方を採用し⇒、教育し⇒、現場に出し⇒、そして、それをきちんと評価すると言う流れをつくっています。
評価の方法も年2回の絶対評価で、細かい評価基準に照らして公正に判定をし、フィードバックによって、成長のために必要な改善点を明確にできるようにしています。
この様な一連のプロセスをきちんとまわす事によって、ポテンシャルの高い方をプロのコンサルタントに育て上げて行く事にずっと取り組んで来ました。
スカイライト流 新たな取り組み: サービスユニット
movin:
それでは、前回インタビュー時(2005年12月)以降、御社でなにか新たな動きや取り組みを進めておられるようでしたら教えてください。
矢野氏:
まず、コンサルティング事業の中での取り組みに関しては、「サービスユニット」という組織を作りました。これは、スカイライトという経営のインフラを利用して、会社の中に別の会社を作る様なイメージに近いですね。
これも、会社側からの指示でできたわけではなくて、「ある程度経験を積んだメンバー(シニアアソシエイトというマネジャーの一歩手前のクラスから上の人間)が5人集まったら作れる」というルールを作りました。シニアマネジャーがメンバーを募り、自分たちで1年間の事業計画を立案し、独立採算制で運営していきます。収支実績が、当初立てた事業計画を上回り、黒字を達成すれば、獲得した利益に一定比率を掛けた額が業績給としてサービスユニットに支給されることになっています。
movin:
社内起業、といってもいいかもしれませんね。
そのような考えの元で、実際に立ち上げられたユニットがすでに2つあると聞きました。
矢野氏:
現在、「金融サービスユニット」と「経営管理サービスユニット」があります。そもそもなぜサービスユニット制度を作ろうと考えたか、という背景を少しお話させて頂こうと思います。
これまでに申し上げましたとおり、我々は会社として特定のサービス領域を決めずに、個人でやりたい事をやりなさいというコンサルティングを推進してきた訳ですが、一方で、特定の業界や特定の領域のノウハウや知見、経験を積んで行きたいという志向のコンサルタントも出てきました。
そこで、ある特定領域に注力して勉強をし経験を積んでいけるようなキャリアパスを用意する必要性もあるだろうと考えた訳です。
また、マネジャーのキャリアパスを考えた際、シニアマネジャーになってプロジェクトの現場責任者として経験を積んで行くという道は当然あるのですが、中には自分の組織と呼べるものを束ねて、それをマネジメントしていくといったキャリアに進みたいマネジャーもいます。
2つのサービスユニットは、1年間のトライアル期間を経て、2年半前から始めているのですが、2007年3月期、2008年3月期と二期分の決算でそれぞれ黒字を出し、早速ボーナスも出たということで、メンバー達は非常に高いモチベーションでやっています。
また、ノウハウの蓄積といった意味でも、サービスユニットで得た情報を全社に向けて定期的に発信したり、勉強会を開催し、コンサルティング本部のスタッフの教育を行っている点でも、効果があったといえます。
movin:
なるほど、興味深い取り組みですね。
もしお話出来るようでしたら、いま新たに立ち上がりそうなサービスユニットはあるのか教えてください。
「社会が変わるコンサルティング」を
矢野氏:
現在、「社会環境サービスグループ」というグループが活動をしています。彼らは、サービスユニットの手前の状態です。もちろん、収支のシミュレーションはメンバーもしていますが、まだ財務的には分けていません。
彼らは、弊社が「社会が変わるマーケティング」という、フィリップ・コトラー氏の本を翻訳したときのメンバーです。
この本のメッセージは、簡単に申しますと、「パブリックセクターが、もう少しマーケティング的な発想、例えば、地方の自治体であれば市民をお客様と考えたときにお客様のニーズって何だろう、市民に対し良いサービスを提供するには何をすればよいだろうと、マーケティングの発想を取り入れる事によって、サービスレベルが上がり、住民が増え、税収が上がる。このような手法を通して、世の中をもっと良くして行きましょう」といったものです。
書籍の翻訳をしながらさまざまな議論をして行く中で、彼らメンバーの中で彼らいわく「友情」が芽生えたそうです。
movin:
会社のなかで「友情」といえる関係を築けるというのは、素晴らしいですね!
矢野氏:
コンサルティングは、通常お客様がいて、そのお客様の利益を最大化するために我々の力を注ぐ訳なのですが、さらに「その先にある公益というものを見て行こうよ」と。「世の中のためになる事をコンサルティングを通じて行っていこう」という「志」を持ったメンバーなんですね。
当然官公庁のお客様からの仕事もありますが、製薬会社のお客様からの仕事などがあります。例えば、「薬をなるべく早く市場に出すために、新薬開発・治験プロセスを改善する」といったことに取り組んでいます。
その他にも、健康保険組合の業務改善、あるいは、児童虐待の問題を解決する取り組みなども研究しています。児童虐待の問題解決には、地方自治体だけでなく、警察、消防、学校、医療機関といった組織を横断的に連携して情報共有して行く必要があります。
最近、CSRが注目をされて、取り組んでいる会社も多いと思いますが、我々はあくまでもビジネスとしてやっています。寄付やチャリティーだけでは、活動がなかなか長続きはしないと思います。ビジネスとして成り立つからこそ、継続的にやっていける訳です。そして、その事業活動の規模を大きくする事により、より大きな影響力を与えていけるものと思います。
「社会を変える投資事業」も
movin:
御社は近年、コンサルティング以外の事業の展開も始められていますね。
矢野氏:
はい、「投資事業」を2年ほど前から始めました。
我々は創業当初から新規事業の立ち上げ支援をやって来て、事業の企画や企業の立ち上げに関しておおよそ理解して来たのですが、継続的に支援をして行くためにはコンサルティングと言うモデルでは限界があるかなと感じていました。
例えば、お金をもらってベンチャー企業を支援するとしても、極端な話、我々がサービスし続けると、そのベンチャーからはお金がどんどん出て行ってしまうということにもなりかねないですよね。
しかし世の中には、現在抱えている問題を解決するためにコンサルティングを依頼するお金は無いものの、将来性が高い企業は多く存在する訳です。
そこで、コンサルティングの対価を受け取るバリエーションを増やして行きましょうと検討しました。
例えばストックオプションを頂く、または、我々が第三者割当増資で出資をさせて頂き、株式公開時にキャピタルゲインを得ようといったやり方です。
我々が成功報酬型コンサルティングと言っているものはこれに当たります。
movin:
最近は他のコンサルティング会社でも「成功報酬型」を強調する会社が多くなってきましたね。
矢野氏:
我々の場合はどちらかと言うと、成功の報酬の原資と言うものを、直接求めないケースです。
やはり、コンサルティング会社がお客様の成果創出にどれほど寄与できたのかを厳密に算出して、報酬を頂くというのはかなり難しいことですよね。例えば業務システムの構築で報酬を成功報酬でいただくと言うのは、難しいかと思います。
この様なやり方の可能性を否定する訳ではありませんが、むしろ我々は、エクイティといった形の方が分かりやすいのではないかと思うのです。つまりは、企業価値向上に寄与できた分を報酬として頂くのだと。
movin:
それでは御社での投資事例をご紹介いただけますか。
矢野氏:
我々はこれまでに2社に投資を行って来ました。
1社目が「英治出版株式会社」と言う出版社です。ビジネス書に強く、最近は社会起業関連の書籍を積極的に出しています。
こちらはウォートン(=米国ペンシルバニア州にある有名MBA校)経営戦略シリーズを一緒に出していたということもあり、よく理解していました。
同社は、ブックファンドという、コンテンツファンドの仕組みを業界に先駆けて活用しています。ブックファンドというのは、通常は出版社が負担する出版費用を、本を出したい人や共感する人が出資するという形でファンドを形成するものです。売上が上がれば出資に応じたリターンが得られるので、うまく行けば印税を得るよりもはるかに大きなリターンが得られる仕組みです。
例えば、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」で有名な山田真哉さんが最初にデビューされた時の「女子大生会計士の事件簿」、これは英治出版のブックファンドを使って世に出たものです。
movin:
そうだったのですか、あの本は一気にブレークしてかなり売れたようですね。
矢野氏:
そうですね、その様な成功事例があります。
彼らには、グローバル・パブリッシャーになるという大きなビジョンがあります。コンテンツを「パブリック(公)にする」ことをパブリッシャーの役割と定義していて、それをグローバルなスケールでやりたいと考えているのです。つまり、英治出版と契約すれば、世界各地で、複数言語で本が出せるようになります。実際、既に韓国に子会社を設けています。
我々は、こうしたビジョンに賛同し2年前に支援を決めました。第三者割当増資の引き受けに加えて、マネジャーを一名出向させています。
movin:
出向されたマネジャーは、英治出版社の中ではどの様な役割を担っておられるのでしょうか?
矢野氏:
実質的にはCOOの様な立場で、日々の資金繰りから出版の企画まで携わっています。
弊社のキャリアモデルで言えば、取引先の経営幹部と言った役割になります。
movin:
大変興味深い取り組みですね。その他の事例もお聞きしても宜しいでしょうか?
矢野氏:
はい。二社目の事例は「株式会社スタートトゥデイ」で、「ZOZOTOWN」と言うアパレル系のショッピングサイトを運営している会社です。こちらは上場を目指し会社を大きくされて行く中で色々な支援をさせて頂いたのですが、最終的に成功報酬型のコンサルティングをやらせて頂くことになり、出資いたしました。その後、昨年(2007年)の12月に無事上場されまして、6ヶ月間のロックアップ期間も終わり、初めて投資事業としての売上をあげることが出来ました。
movin:
なるほどですね。
ここで質問が二つございます。
まず、こちらの投資はどの様な経緯で始められたのでしょうか?
また、御社は今後この様な事例をどんどん生み出して行くという方針でおられるのでしょうか?
矢野氏:
この2件については、コンサルティングでの支援という形で始まりました。
今後、投資事業においても、年間何社ということを目指すのではなく、あくまでもコンサルティングを行っていく中で、投資と言う形での支援も求められるお客様に対してサービスを行っていこうと考えています。
movin:
昨年から新たに始められたという「シード投資」に関してもお伺いさせてください。
矢野氏:
投資事業を始めるに際して、ベンチャーキャピタル業界を調査したのですが、成長の段階に応じて支援をする会社はあるものの、初期の立ち上げ時や会社を設立してから2~3期のタイミングで支援を行っている会社、もしくは人というのが、日本は本当に少ないんだなと実感しました。
アメリカのシリコンバレー等に行くと、例えばエンジェル投資家といった初期ステージからの支援をしている方も数多くいるんですよね。もちろん日本にもエンジェルの方はいらっしゃるとは思うのですが、まだまだ少ないのが実状です。もちろん、資金に関してだけいえば、国民生活金融公庫などがありますが、起業家が必要としている事業成長や経営のためのアドバイスはなかなか得られにくいと思います。
やはり日本のシード投資と言うのは非常に貧弱なのです。
そうなると、やはり日本から大企業と言うのは生まれにくいのだろうなと感じましたね。これは長期的に見ると日本の経済の活性化の妨げになりますよね。新しい企業が生まれる事で、新しい雇用も生み出されますし、技術革新も起こりますしね。
このままで行くと、どんどん先細りになってしまうと言う問題意識を我々は持っています。そこで、微力ながらこの様な環境を改善して行けないかと、シード段階の企業支援を始めました。
検討をした結果、「ビジネスプランコンテスト」と言う形で起業家予備軍からビジネスプランを募ることで、起業家の卵と有望なプランを集め、成長性の見込める案件について出資し、実際に会社を立ち上げてもらうことになりました。
ビジネスプランコンテストは世の中に沢山あるのですが、その多くはプランの優劣を競う事を目標としています。それを否定する訳ではありませんが、結果として優勝者が賞金で会社を作っているかといえば、実際は作っていないケースが多いんですよね。
そこで、我々のビジネスプランコンテストでは「実際に起業頂くこと」を申し込み・出資の前提としました。
これが1つ目の申し込みルールです。
そして2つ目のルールは、「20代限定」ということです。
これには様々な理由があるのですが、やはり、若い人の方がパワーや発想力もあり、身軽で自由度が高いですからね。
昨年より「起業チャレンジ」と名づけたビジネスプランコンテストを行い、最終選考会で選考された方に、最高で300万円をお渡ししています。
この資金で、まず始めに、選考の過程で弊社のコンサルタントとブラッシュアップを重ねたビジネスモデルを検証してもらいます。それで上手く行きそうであれば、そこから新たに資金調達をして伸びて行けば良いと考えています。もちろんベンチャーキャピタルを我々が紹介する事も出来ますし、様々な展開が見えて来ると思います。
movin:
応募者は学生さんが多いのでしょうか?
矢野氏:
半々ですね。社会人でも若手の方で、応募してくださる方もいますね。
movin:
そうなのですね、私共もとても楽しみにしております。
そして、いずれ御社のこの様なチャレンジ支援から育たれた会社において、人材ニーズが出て来られる様でしたら、ぜひお力添え出来ればと思います!
矢野氏:
その際はぜひよろしくお願い致します。
ベンチャー企業は立上がり期の人材には本当に困ってしまう状況になりますので。
movin:
昨年の支援事例を簡単にご紹介願えますでしょうか?
矢野氏:
2社あって、1社は「株式会社アゲハ」という、慶応SFCの学生3人組が立ち上げた会社です。「マスコラボレーション」と言って、何十、何百通りカスタマイズ可能な商品を作り、ユーザーが自由にカスタマイズ出来る形で売って行くことで、人気のあるデザインを効率的に発見していこうというものです。現代の大量生産大量販売と言うモデルに新たな提示が出来るのではないかといった仮説を持っています。非常に優秀な方たちですよ。
movin:
御社としては具体的にどの様なご支援をされているのでしょうか?
矢野氏:
スカイライトとしては、あくまでも「起業家の自主性」にお任せしています。
例えば、我々が100%出資をして、何でも我々の言う通りにやりなさい、ということでは良いベンチャーは育たないと思っているからです。
そのため、我々は出資比率も最大で15%程度まで、取締役の派遣も行いません、
基本的には月に1度会って現状を聞きアドバイスをしています。
もちろん相談があれば受けますよ。
そのような形で、起業家の自主性を尊重しながら、支援をして行くと言ったイメージになります。
movin:
もう1社についてもお話いただけますでしょうか?
矢野氏:
もうひとつは、「株式会社Canvas」という会社です。「シリアスゲーム」という耳慣れないジャンルのゲームがあるのですが、その開発を手掛けています。
アメリカでは、ある団体の活動を世に広めるために、単にWEBで情報を公開するというだけでなく、実際に遊びながら学んでもらえるようなゲームを公開する事があるのですが、このゲームを「シリアスゲーム」と呼んでいます。
もっとも有名なものは、国連食糧計画(ワールドフードプログラム:WFP)が開発した「フードフォース」です。WFPは、世界の、特にアフリカ、アジアの食糧問題を抱えた地域に対して、食糧を提供している団体なのです。
ゲームは、「飢餓救済のために、どの地域にどれくらい食糧を配布すればよいか」というミッションを通して、問題の背景であったり解決策であったりということを伝えています。
ちなみに数百万のダウンロードをされているという実績があるそうです。
このようなものが、日本においてもいずれ必要になって来るだろうと、シリアスゲームに特化したゲーム開発会社を始めたそうで、こちらの社長は、子供の頃からプログラミングを始めて、大手のゲームメーカーに勤務し、開発実績もある方です。
movin:
ありがとうございます。
それでは次に、御社の出版事業についてお話を伺わせてください。
ウォートンシリーズは、シリーズでもう10冊目にもなりますね、大変順調ですね。
矢野氏:
ありがとうございます。
ウォートン経営戦略シリーズは、最近では「自滅する企業」という書籍を出しました。
movin:
「自滅する企業」ですか、これは非常に衝撃的なタイトルですよね(苦笑)。
よろしければ、ウォートンシリーズについて簡単にご説明頂きたいと思います。
矢野氏:
オリジナルシリーズ全体の特徴としては、いわゆるMBAの教科書ではなく、MBAで勉強された後、現場に戻ったマネジメント層の方々を対象に書かれています。そのため、少しレベルが高いかと思われるかもしれませんが、着眼点や切り口、事例等がたくさん出て来ますので、世の中のビジネス書の中でも良い本が多く、テーマも色々揃っています。
私たちは、その中から、特に日本の読者に読んでいただきたいと思えるものを選んで出していますので、1冊1冊きちんと読んで頂くのに十分値するかと思います、ぜひ意欲のある方は手にとって頂ければと思います。
社員が執筆した書籍も先日出版しました。
プロジェクトマネジメントに関する書籍で「ITプロジェクトチームの編成法」というものです。
ビジネスの可能性で切り拓く、より良い未来
movin:
それでは最後に、御社の今後のビジョン・方向性といったことについてお願い致します。
矢野氏:
お蔭様で我々も9年目を迎え、100名を超えるまでの規模に成長することができました。
以前からコンサルティング事業に関しては200~300名くらいの組織が適正規模と捉えていて、引き続きそこを目指していこうと考えております。
話がちょっと大きく広がりますが、今後の世の中というのは、このままの仕組みでは「ジリ貧」であると思うのですよね。
変わらないということ非常にリスクがある。誰もが皆変わって行かなくてはいけない。
ビジネスに関しても、同じことを続けていっても右肩上がりの成長と言うのはもうありえない訳ですから、何かしら新しい事に取り組んで行く必要がありますよね。
業務改革、新規事業立ち上げ、M&A、海外進出等々色々な取り組みがあると思います。
この活動を推進していくためには、何かしら目指すべきゴールをもって、期間とリソースの制約のなかで、ゴールを達成し成果を創出して行くという取り組みが必要です。このような「プロジェクトスタイル」での働き方や課題への取り組みが、世の中においてどんどんと求められるようになってきています。
そのような中において、我々はこのような「プロジェクトスタイル」での仕事をクオリティ高く出来る人材を採用し、教育し、提供している訳で、これこそが我々の価値なのではないかと思います。
ですから、その価値を今後いかに世の中に還元して行くかと考えたときに、当然コンサルティングビジネスを通してと言うのはありますが、それ以外の方法もあるはずだと考えます。
それが、社会環境サービスグループであったり、投資であったり、もっと言えば新しい事業を立ち上げそれで解決する方法もあるかもしれません。
この様に、コンサルティングの強みを生かしながら、世の中がもっと良くなっていくような取り組みをしていきたいなと考えております。
では、そこで具体的に何をして行くのか。
これは社員1人1人の志の問題なのかなと思います。
そして、その様な志を、会社としては精一杯支援して行きたいと思います。
弊社の理念に共感いただけて、志の高い方に、スカイライトの門を叩いて頂ければと思っております。
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