デルの主要株主、買収案に反対を表明

米パソコン大手デルが同社創業者で最高経営責任者（CEO）のマイケル・デル氏らの投資グループに244億ドルで身売りし、株式の非公開化することで合意したことを受け、同社最大の社外株主であるサウスイースタン・アセット・マネジメントは8日、この提案に反対票を投じる意向を示した。

　サウスイースタンは、発行済み株式の約8.5％を保有しているとし、デルの取締役会に宛てた書簡で買収に対する反意を強い口調で訴えた。

　同社は書簡で、「われわれは提案された非公開化取引はデルの価値を著しく過小評価したものであると考え、これに対し大きな落胆を表明する」と主張。現状の取引提案に賛成票は投じないとし、あらゆる選択肢を駆使して対抗する構えを見せた。

　サウスイースタンの反対は、提案された買収価格での取引成立を難しくするものだ。合意によると、買収成立には経営陣と取締役を除く過半数の株主の承認が必要となる。

　デルは5日、1株13.65ドルでの買収提案を受け入れたと発表した。買収グループを率いるのは、最大株主で約14％を保有するデル氏と、未公開株（PE）投資会社シルバー・レーク・パートナーズ。

　この提案価格は、買収交渉が公になる前日のデルの終値に25％のプレミアムを上乗せしたものだが、1年前の取引価格の18ドル超を大幅に下回っている。8日の同社株は0.74％上昇し13.63ドルで引けた。

　サウスイースタンは、デルには1株約24ドルの価値があるとの考えを書簡で示している。また、もしデルが一部の事業を売却すれば、経営陣主導の買収より高いリターンを株主にもたらす公算が大きいとも指摘している。

　デルの広報担当者は、同社取締役会の特別委員会は「さまざまな戦略的選択肢を検討した」とし、「取締役会は、提案された全額現金での取引が株主にとって最も利益が大きいと判断した」と述べた。その上で、この合意には、さらによい選択肢を検討する機会を株主に与える「ゴーショップ条項」が設けられていると付け加えた。

2013年 2月9日
参照WSJ

デル（Dell）

テキサス大学の学生であったマイケル・デルが、1984年にパソコン保守を行う会社として創業した。IBM PC互換機は部品レベルで規格化され誰もがパソコンを製造できたことを利用し、パソコンの製造販売に乗り出す。ゲートウェイ2000（現ゲートウェイ）と並んで中間業者を排し、在庫を持たない注文生産（BTO）の直販スタイル（ダイレクト・モデル）が特徴。最新のスペックのパソコンをはじめ製品を安価に提供し、且つ希望通りのスペックのパソコンを購入できる（店頭では、その場で持ち帰ることのできるモデルも用意されている）。現在、世界でトップクラスの販売台数を誇る。

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