ＩＳＩＤ、モデルベース開発支援システムの最新版を投入−自動車メーカーの要望反映

電通国際情報サービス（ＩＳＩＤ）はモノづくりの構想設計の段階から、シミュレーションによる「すり合わせ開発」を実践できるモデルベース開発（ＭＢＤ）支援システムの最新版を開発した。先行ユーザーである国内の自動車メーカー各社の要望を反映。エンジンや車両などで求められる大規模なチーム設計に加え、同システムを運用するハードウエアの制約なしに製品性能の物理的な“天井（限界値）”をモデル化して解析する機能を実装した。

　

　構想設計支援システム「アイクアビス」の３・０版として投入する。既存の２・０版は利用者数が１０００人規模に対して、３・０版は車両１台分の開発に丸ごと対応できるよう１万人規模に拡張した。

　車以外に複写機や精密機械といった、すり合わせ開発が欠かせない分野にも展開する。売上高は製品ライセンス（使用許諾権）などで投入初年度が２０億円、４年後には派生製品も含め全体で１００億円規模に拡大し、新規事業の柱に育てる。

　アイクアビスは欧米流のトップダウン型のＭＢＤ手法と、日本流のすり合わせ開発の両立が可能。開発初期からシミュレーションを活用してすり合わせることで、手間とコストがかかる実機試作や仕様の修正などによる開発の手戻りを大幅に減らすとともに、既存技術にとらわれず技術革新に挑むことができる。

　例えば、車開発では全体の目標を実現するために、燃費や出力といった性能・機能面で達成すべき目標値と、エンジンなどの実現手段について、それぞれを担当する複数のチームが同時並行で検討しながら開発する。しかし、役割の異なる部門がそれぞれ必要な粒度（細かさの度合い）でモデルを作るため、実機を試作してすり合わせたときにうまくいかないことが多い。

　３・０版では役割や粒度が異なるモデルを連携させ、相互の影響度合いや各設計チーム間で背反する要求に対し設計の差分を管理する。この仕組みにより段階的に詳細化しながら、精緻にモデルを検証できる。こうした機能はメカ系のＭＢＤ支援ツールで他にはない。

　解析機能の強化では既存の技術の積み上げ方式と、自然科学上の限界とのギャップをモデル化して確認できる。「未達の部分が明確に分かるため、限界値に向けてブレークスルーできる」（ＩＳＩＤ）という。　

2015年 1月30日
参照朝日新聞DIGITAL

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