悪化の一途をたどっていた欧州銀行の不良債権問題にようやく光が見えてきた。だが一部の国では、改善ペースは緩やかなものにとどまりそうだ。
欧州の銀行の不良債権総額は昨年、5年ぶりに減少した。ただ、1兆1800億ユーロ(約159兆円)という金額は依然としてかなり高い水準だ。
監査・コンサルティング大手のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、資産運用会社などに売却した不良債権が過去最高の910億ユーロに達したことが減少の主因だという。これにより、新たに発生した不良債権分(約400億ユーロ)が相殺された。
欧州中央銀行(ECB)の超金融緩和政策が一部重債務国の経済成長を下支える中、不良債権は新規発生が一段と大幅に鈍化し始めるとともに、売却も加速するはずだ。
まず注目したいのはイタリアだ。同国の不良債権額は1840億ユーロに達し、不名誉ながらスペインとドイツを抜いてユーロ圏首位に立った。1-3月期の国内総生産(GDP)成長率が小幅ながら2011年夏以来初めてプラスを回復したことで、状況は少しは改善するはずだ。しかし、より重要と考えられるのが来る破産法改正だ。改正によって資産の差し押さえが今よりも容易になり、ひいては問題を抱えた借り手から資金を回収しやすくなる。
バークレイズによると、担保権実行には平均7年かかるが、改革が実現すればこの時間は大幅に短縮するはずで、買い手の目がイタリアに向く良いきっかけとなるだろう。
PwCによれば、銀行の不良債権売却額は2012年1月以降の累計で、スペインとアイルランドがそれぞれ400億ユーロ超、英国が600億ユーロ超、イタリアがわずか200億ユーロだ。
イタリアの政治家からは、政府が「バッドバンク(不良債権受け皿機関)」を設立してはどうかという声が上がっている。しかし、銀行の債権者や株主がこれを歓迎する一方で、銀行幹部は国からの支援を制限している欧州連合(EU)規則を理由に、民間資本が入らない限り設立は不可能だと考えている。
不良債権投資に参入するファンドなどは増加傾向にある。例えば、未公開株(PE)投資会社の米KKRは、イタリアの大手銀行ウニクレディト、インテサ・サンパオロの両行と共同で、両行から最大10億ユーロの不良債権を買い取る「バッドバンク」の設立を検討している。
しかし、銀行業界に必要なのは完全な形での債権売却だ。経済成長加速による効果が浸透するまでには時間がかかるとみられるからだ。同じくイタリアの銀行大手メディアバンカは、不良債権処理が経済成長よりも2年近く遅れると考えている。
バークレイズによれば、銀行の総与信額に占める不良債権の比率は、2017年末時点でイタリアが15.2%と、ギリシャを除く欧州諸国中1位にとどまる見通しだ。これはスペインの予想比率6.2%の2倍以上だ。
欧州全体の不良債権比率は2年後も5%を超えている可能性が高い。金融危機の10年前には3%を下回っていた。状況の悪化には歯止めがかかったようだが、銀行が過去の遺物を完全に処理できるのはしばらく先になるだろう。
2015年 5月28日
参照THE WALL STREET JOURNAL
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