【デロイトトーマツコンサルティング】2020年の販売台数予測は5万台！燃料電池車は“世界基準”になれるのか？

デロイト トーマツ コンサルティングが発表した予測によると、日本国内における燃料電池車の販売台数は2020年に約5万台、2025年に約20万台、2030年には約40万台、経済波及効果はそれぞれ、約8000億円、約2.2兆円、約4.4兆円とされる。

トヨタ『ミライ』

トヨタが造った事実上、世界初の量産型燃料電池車。デザインテーマは「知恵をカタチに」。「空気を吸い込み、水を出す」仕組みを前面に押し出したフォルムが特徴的。

■話題の燃料電池車、その最大のメリットとは？

◎多様性があって持続力もあるクリーンエネルギー

　昨年12月に発売された世界初の量産型燃料電池セダン、トヨタ『ミライ』。2015年の国内販売計画は400台だったが瞬く間に完売、発売1か月で1500台を受注した。

　燃料電池車とは、電気自動車の一種で『ミライ』もピークパワーが154PS、最大トルク335NmのEV用モーターを搭載し、1850kgの車体を引っぱる。発電するのはFCこと燃料電池スタック。空気中の酸素とタンクに積んだ水素ガスを化学反応させて電気を作るのだ。『ミライ』の場合、これがキモとなっている。EVはEVでも、電池が燃料電池ゆえに燃料電池車というわけだ。

　燃料電池は、エンジン車のように無駄な熱もガスを発生することはなく、生まれるのは電気と水のみ。一部では“究極のエコカー”とも言われ、『ミライ』の場合、約60Lの水素タンク2本で最大650kmの航続距離を実現可能にしている。パワー、航続距離、車両設計、すべての面において、何ら問題はない。つまりガソリン車並みに使えて、EV並みに環境にやさしい“いいとこ取り”の乗り物なのだ。

　だが、燃料電池車を買っても実用的に使えるのは現実的には、水素ステーションの近くに住む人に限られる。実はここにキモがあって、この水素ステーションに関する平成26年度と27年度の補正予算だけで約100億円が組まれている。そこで得られるメリットは「きれいな空気」だけだと思ったら大間違いで、その裏テーマに、日本人の夢、“石油脱却”がある。というのも燃料電池車に必要な水素は、原油精製時に生じる分だけでほぼ賄うことが可能。しかも需要が増えても褐炭という石炭や再生可能エネルギーから作ることができるのだ。うまく普及すれば産油国から購入する原油量を減らし、新しい産業を創ることができる。ここに燃料電池車普及の本当の狙いがあるのだ。

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2015年 8月1日
参照DIME