【日本オラクル】「3年前はニーズは皆無、今が導入の好機」、日本オラクルがクラウドSCM「SCM Cloud」新版

「当社でのクラウドSCM（サプライチェーン管理）の取り組みは、他のアプリケーション分野に比べ遅れていた。実際、3〜4年前はニーズもほとんど無かった。しかし、現在では『企業の80％がクラウドでSCMアプリケーションを利用中、または1年以内の利用を予定している』との調査結果もある。導入を検討するには良いタイミングだと自信を持って言える」。

　米オラクルでアプリケーションズ・ディベロップメント SCMエグゼクティブ・オフィス シニア・バイスプレジデントを務めるリチャード・ジュウェル氏（写真）は2015年12月8日、日本オラクルの「クラウド型ERPソリューション最新版に関する説明会」でこう語った。

　日本オラクルが同日、発表したのはSaaS（ソフトウエア・アズ・ア・サービス）型SCMサービス「Oracle SCM Cloud」の新版であるリリース11。2015年夏に提供を開始したリリース10に続くもので、新たに需給計画を支援する「Planning Central Cloud」や生産管理用の「Manufacturing Cloud」を追加した。

　Oracle SCM Cloudは、計画から調達、製造、販売、物流、在庫／コスト管理、PLM（製品ライフサイクル管理）、マスターデータ管理まで、SCMに必要な機能をSaaSとして利用可能にする。「競合他社のクラウドSCMは、オンプレミス（サーバー設置型）製品をクラウドに移行させたものがほとんど。我々は一から開発した点が異なる」（ジュウェル氏）。ERP（統合基幹業務システム）「Oracle E-Business Suite（EBS）」など既存製品を基に新たに開発した「Oracle Fusion Applications」のSCMモジュール「Fusion SCM」のクラウド版を元にしている。

　「（1980〜2000年生まれの）ミレニアム世代は家庭でモバイルなどの使い勝手に慣れ親しんでいる。同じ使い勝手を仕事でも使えることを期待している」（ジュウェル氏）。Oracle SCM Cloudではこうしたニーズに応えるために、クラウドやタブレットでの利用を前提とした使い勝手や、組み込み型BI（ビジネスインテリジェンス）の機能を実現しているという。

　その一つが、ビジュアル・ナビゲーションの機能。データに応じて次のアクションをビジュアルに表示したり、ドラッグ＆ドロップ操作でデータを分析したりできる。「EBSを作った頃には存在しなかった機能だ」（ジュウェル氏）。リリース11で追加したPlanning Central Cloudはインメモリー技術に対応しており、「環境の変動に合わせて、計画を即座に変更できる」（同）。

　ジュウェル氏はOracle SCM Cloudについて、「まずはハイテクと製造業に焦点を当てていく。ここからクラウドSCMでリーダーシップを取ることを目指す」と話す。今後も年に2、3回のペースでバージョンアップを続けていく予定だ。

2015年 12月8日
参照Itpro