クラウドコンピューティングのメリットとは、IT リソースをスケーラブルに利用できることで、コスト最適化が可能になる点だとされている。だが、実際は必ずしもそうとは限らないようだ。
米国 Symantec は1月16日、同社によるクラウドに関する調査報告「Avoiding the Hidden Costs of Cloud 2013 survey」を公表。企業へのクラウドの普及率が過去最高に達したことを明らかにした。同調査によれば、クラウド導入を検討したことがあるという企業は全体の94%に到達。前回調査時の75%から大きな伸びを示した。
だが一方で、企業によるクラウドの採用には「見えないコスト」があることを指摘している。
クラウドの見えないコスト−セキュリティ
Symantec の調査で明らかになったクラウドの最大の問題点は、クラウドの不正導入だ。調査対象のうち77%が、これを問題だとしている。不正導入とは、企業の IT 部門の許可を得ずに、企業内の各部署や従業員が勝手にクラウドを導入してしまうことを指す。
クラウドの不正導入では、企業のセキュリティやプライバシーポリシーが遵守されていないことが多く、セキュリティ上の大きなリスクとなる。Symantec の調査によれば、クラウドの不正導入があった企業の40%で、なんらかの機密情報の漏えいがあったという。
クラウドの見えないコスト−クラウドストレージサービスの非効率な利用
もう1つの問題は、企業によるクラウドストレージの利用方法があまり効率的とは言えないという点だ。Amazon S3 や Dropbox といったクラウドベースのストレージサービスは、近年ますます人気が高まっている。だが、Symantec の調査によれば、調査対象となった企業の61%はデータのバックアップで社内で統一されたサービスを採用してはおらず、3つまたはそれ以上のクラウドストレージサービスを利用しているという。
Symantec のグローバルクラウドマーケティング部門でシニアマネージャを務める Dave Elliott 氏は、InternetNews.com に対し次のように語った。
「これは明らかに非効率的なやり方だ。また、ポリシーの一貫性を欠く恐れもある」
また、Symantec の調査によれば、クラウドストレージサービスを利用する企業の多くが、最適なプランを選択できてはいないという。
「多くのストレージスペースが利用されないまま放置されている。企業の多くはデータバーストが発生したときのため、または万が一のため、必要以上のストレージ容量のプランを選択する傾向にあるようだ」
クラウドの見えないコスト−クラウドストレージでのデータ紛失
さらなる問題点は、調査対象の43%がクラウドでデータを失くしたことがあると認めている点だろう。Elliott 氏は、クラウドでデータが失われる理由は複数あるという。1つには、クラウドストレージプロバイダーが、なんらかの不具合によってデータを失ったという場合。だがもっとも多いのは、利用者による人為的なミスでデータが失われるケースだ。Elliott 氏は次のように述べた。
「利用者が誤ってデータを不適切な場所に置いてしまうことがある。このような場合、データを見つけるのは困難だ」
クラウドの見えないコスト−データリカバリ
クラウドからのデータリカバリも、隠れたコストの1つだ。クラウドからのデータリカバリの経験がある利用者のうち、リカバリ完了までの時間に満足したと回答したのはわずか32%に留まった。回答者の22%は、クラウドからのデータリカバリには、3日以上かかると回答している。そのデータが企業運営においてクリティカルなものだった場合、3日間業務が停止することによる損失は非常に大きなものとなるかもしれない。
クラウド導入におけるポリシーの重要性
Elliott 氏は、企業の多くはデータバックアップやストレージの効率的な利用方法について、深く検討することなくクラウドに飛びついていると指摘する。Symantec はクラウド導入の際には、技術やプラットフォームよりも、企業ポリシーにフォーカスして検討すべきだとしている。
「クラウドを利用するためにポリシーを変更するようなことはあってはならない。ポリシーは、企業が利用するすべてのプラットフォームで共通であるべきだ。ポリシーを決定したら、従業員にそれを周知徹底させる必要がある。こうすることで、クラウドの不正導入も防ぐことができる」
2013年 1月17日
参照japan.internet
IT業界、コンサルティング業界の最新ニュースをお伝えします。最先端の業界で何がどう動いているのかをWatchすることで、広くビジネス界全体の今後の動きを展望することができるはずです。
おすすめ求人
業務プロセスコンサルタント:大手総合外資系コンサルティングファーム
もっとも知名度の高い大手総合外資系コンサルティングファームの一つ
SCM領域に対して、戦略の策定から業務改革やプロセスの再構築、組織変革、ITの導入・定着といったコンサルティングサービスを提供します。
ITコンサルタント:最大のSI会社を母体とするシンクタンクにてIT戦略策定
日本最大のSI会社を母体とするシンクタンク。戦略立案、新規事業戦略、IT戦略等のコンサルを中心に展開しています。
一般企業、金融機関、行政機関全般における、IT戦略、CIO支援に関連するコンサルティング業務
ムービンでは、大手には出来ない、お一人お一人に合わせた転職支援をご提供しております。あなたのキャリア形成を全力サポート致します。業界出身者だからこそ提供可能な支援があります。今すぐ転職を考えている方も、いつかはと考えている方も、ご自身では気づかれない可能性やキャリアプランを見つけるためにも弊社までご相談下さい。
株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア 〒105-0003 東京都港区西新橋1-13-1 DLXビルディング 6F
Copyright (c) movin CO .,Ltd. All rights reserved.
Copyright (c) movin CO .,Ltd. All rights reserved.