細るオイルマネー、湾岸政府系ファンドは資産売却迫られる恐れ

原油価格の急落により、湾岸諸国の政府系ファンド(SWF)が今年数百億ドル単位の資金をグローバル市場から引き揚げる可能性が出ている。このうちの多くはドル建て債券や海外預金になるとみられる。

ただ、自国経済を原油依存から脱却させるという重大な綱渡りの中、多くの政府系ファンドは成長が鈍化している欧州諸国から新興国に焦点を移しており、インフラ施設や不動産などリターンの見込める長期投資については引き続き積極的に実施していく見通しだ。

この10年間で、湾岸協力会議(GCC)のメンバー6カ国の政府系ファンドは、仏石油大手トタル や独自動車大手フォルクスワーゲン(VW) に出資したり、欧州の不動産に投資するなど、先進国の証券市場で重要な役割を果たしてきた。

これらの政府系ファンドの成長は急速だった。国際通貨基金(IMF)によると、運用資産はいまや合計2兆4300億ドル程度に達した。大半が海外資産だ。

だが、原油価格が7カ月間で60%下落し、原油輸出による歳入(オイルマネー)は大幅に減少。資産価値の上昇にブレーキがかかる見通しとなっている。

キャピタル・エコノミクスは、北海ブレント価格が今年、平均で1バレル=60ドルで推移した場合、GCCの経常収支は1998年以来初めて赤字に転落し、赤字額は600億ドルに達すると試算した。ファンドへのオイルマネーの純流入が止まることもあり得る。

実際に、資金の流れが反転する可能性もある。北海ブレントがこのまま50ドル近辺の安値で低迷すれば、各政府は歳入減に伴い、予算の不足分の穴埋めとして一部資産の売却資金を充てることが予想される。

推定される赤字は、ファンドの規模と比較すれば小さい。そのため、原油安による大きな打撃を受けたロシアなどとは異なり、湾岸諸国は資産の大規模な売却は回避することができるだろうと金融関係者はみている。

<赤字>

しかし、サウジアラビアはグローバル市場での活動からかなりの撤退を余儀なくされるかもしれない。通貨庁の保有する海外資産は昨年11月現在で7320億ドル相当。このうち5450億ドルは有価証券で、1310億ドルが海外銀行の預金となっている。大半が、米国債を中心とするドル建て資産とみられる。

サウジ政府は2015年、過去最大となる387億ドルの財政赤字を計上すると予想している。アナリストによると、この額は原油価格が60ドル前後と仮定した場合の試算だといい、北海ブレントが50ドル程度にとどまった場合、赤字額は500億―600億ドルに膨らむ可能性がある。

赤字分は、借り入れで補填(ほてん)することもできるが、政府は借り入れを敬遠する傾向がある上、銀行システムの流動性を低下させ国内経済に影響を及ぼすことは避けたいはずだ。

そこで赤字の穴埋め負担は、中銀の海外資産にしわ寄せが向かいやすい。サウジ政府は2009年にも原油安のあおりで財政赤字に陥っており、この際の不足分は120億ドルに達した。

この年、通貨庁の海外投資は7%縮小。海外銀行の預金残高は12%減った。2010年には原油価格が回復したため、投資の伸びも反転した。

ほかの湾岸諸国をみると、オマーンとバーレーンは財政赤字に陥る危険性が高い分、資産の売却圧力も大きい。オマーンは、原油価格を平均75ドルと仮定して2015年度の財政赤字は65億ドルになると予想する。ただ、国際通貨基金(IMF)によると、オマーンの政府系ファンド規模は190億ドル、バーレーンは110億ドルと国際標準からみれば小さい。

原油価格におけるアラブ首長国連邦(UAE)、カタールおよびクウェートの「損益分岐点」は、サウジよりずっと低い。このため、価格が50ドルでも赤字額はより少なく、資産売却圧力も小さい。

そのため、これらの国々については既存ファンドからの年間リターンで、赤字分を補填するには十分だろう。いずれにせよ、不動産やプライベート・エクイティ(PE)における優良資産を売却することには、どのようなファンドも後ろ向きだ。

<戦略>

プライスウォーターハウスクーパース(PWC)で政府系ファンドを担当するディエゴ・ロペス氏によると、多くのファンドはインフラ施設や不動産への投資を希望している。ところが、そういったアセットクラスへの投資機会は先進国では非常に少なくなっており、代わりに新興国市場が探されているという。

例を挙げれば、カタール投資庁(QIA)は最近、アジアで今後5年間に150億―200億ドルの投資をすると発表。欧州に特化したポートフォリオの分散化を打ち出した。

QIA、アブダビ投資庁(ADIA)、オマーン国家準備基金やコメントを拒否した。バーレーンのマムタラカト、クウェート投資庁(KIA)、サウジアラビア通貨庁(中央銀行)からのコメントは得られていない。

今年の戦略の策定に際し、新しい環境に対する政府系ファンドの反応はまちまちだ。ソブリン・ウェルス・ファンド協会のマイケル・マドゥエル所長は、投資判断が保守的に傾くケースもあると予想する。

だが金融関係者らは、原油価格がさらに下落し湾岸諸国の財政への圧力が強まれば、原油より安定性の高い財政基盤を開発する必要性がさらに高まると指摘する。したがって、政府系ファンドの役割は非常に重要になってくる。

ドーハに拠点を置く金融機関のある幹部は、政府系ファンドは近年急速に拡大したため、毎年入るオイルマネーへの依存度は低下していると指摘。「ファンド規模が5000億―6000億ドルあれば、リターンだけでも年間200億ドルくらいは入る」と述べた。

2015年 1月22日
参照REUTERS

プライスウォーターハウスクーパース

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