ファーマ2020：ビジョンから決断へ PwC Japanのレポートの簡易解説

製薬会社の社員は2020年に向けてこれまでになかった事柄を求められます。

プライスウォーターハウスクーパース株式会社の公開しているレポートからその中身を見ていきましょう。



ファーマ2020：ビジョンから決断へ
プライスウォーターハウスクーパース株式会社は、ロンドンを本拠地とする世界159カ国に180000人のスタッフを擁する世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるプライスウォーターハウスクーパースのメンバーファームであり日本企業です。

同社は「ファーマ2020：ビジョンから決断へ」という製薬業界の分析レポートを無償でWEBで公開しており、2020年に向けて製薬業界がどのように変わり、何が求められていくかが記載されています。

引用元：http://www.pwc.com/jp/ja/japan-knowledge/archive/pharma-2020-vision-to-decision.jhtml

本レポートの見出しは以下のような文面で始まります。

2020年に何が起こるかを決定づける条件の多くが、既
に出そろっている。しかし、それゆえに医薬品業界の
運命が決まっているのかといえば、それは真実では
ない。かつてから製薬業界は安定産業と言われてきました。

1990年代は製薬業界に投資しない投資家は無能、とまで言われるほど鉄板の産業であり、事実長年繁栄を謳歌してきました。

しかし、現在は状況が大きく変わっており、パラダイムシフトを講じない限り生き残りは厳しくなってきました。


求められる変革
製薬業界が現状のままでは成長し得ない理由は主に以下の3点になります。

高まる顧客の期待
R&D生産性上昇に対する不透明感
硬直化した企業カルチャー

高まる顧客の期待
これまでは薬を売っていれば、顧客は何の疑いもなく購入し売上となってきました。

しかし、現在の顧客は慎重に医薬品の価値を見きわめ、購入を検討するようになりました。この顧客の定義も変わっており、製薬会社の顧客と言えば以前は「医師」という考えが当たり前でしたが、現在では実際に服用する「患者」へのシフトしています。

最終利用者である顧客は様々な情報を比較検討し医薬品を選びます。また、情報が不十分な場合は、具体的かつ明瞭な情報の公開を要求します。

そういった動向に答えれることが企業の義務であり、そうあるために社内の制度、仕組みを再構築する必要が出てきました。


R&D生産性上昇に対する不透明感
新薬は現在ではそう簡単には合成できません。

莫大な投資を行ってもリターンを得れる確証がないため、各企業ではスクリーニングの効率化や、R&D自体に対する投資の仕方について再検討を余儀なくされています。


硬直化した企業カルチャー

勤めてみると分かりますが、製薬会社は企業構造が硬直化していることが多いです。

これは一般的な日系企業全般に言えることかも知れませんが、変化する環境に対応しつつ、世界を相手に戦っていくためには身動きが取れないほど硬直化している会社が多いです。


これら3要素により、日本の製薬会社は変化に対応できず徐々に沈む行く傾向があります。

この流れを打開するために、日本企業は様々な転換を求められています。

これに対応できた企業のみが、2020年を乗り越え次の10年を戦い抜くことができるのです。

2013年 11月28日
参照azyman

プライスウォーターハウスクーパース

ディールアドバイザリーとコンサルティングサービスを提供するグローバル大手総合系コンサルティングファーム。M&Aや事業再生・再編の専門家の集まるディールズ部門と経営戦略の策定から実現まで総合的に取り組むコンサルティング部門が連携し、クライアントの皆様へ広範囲な統合的ソリューションを提供している。

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